145号 2012年 10月 21日
沖縄県感染症サーベイランス担当 真栄田 篤彦
RSウイルス感染症は「RSウイルス」によっておこる乳幼児の呼吸器感染症です。通常、すべての子供が2歳までに感染するとされています。例年、流行時期は10月から12月にかけてですが、3月から5月頃まで流行が続くこともあります。今年はすでに患者が増えています。特に1歳以下の患者が多く、全体の70%を占めています。国立感染症研究所では、さらに患者が増えるおそれがあるとして注意を呼びかけています。
RSウイルスの感染から発症までの潜伏期間は、約4~6日といわれています。感染経路は、せきやくしゃみなどの飛沫感染、手指を介した接触感染です。ウイルスの排泄期間が7~21日と長いため、感染が広がりやすいウイルスです。
一般的には、鼻汁、咳、発熱などの上気道症状が現れます。通常は1週間~2週間程で治ります。乳児が鼻汁、咳に引き続いて「ぜいぜい」してくる場合は、その30~40%がRSウイルス感染症によるものと考えられます。
症状
- 水のような鼻汁
- 鼻づまり
- ひどい咳、むせるような咳
- 発熱
※1歳ぐらいまでの子どもの場合、細気管支炎を起こして重症化することもあります。
診断方法
- 抗原検出キット
鼻の奥の粘膜を綿棒でこすって調べます。30分程度で診断結果がわかります。 - 胸部レントゲン(細気管支炎の診断)
聴診器では判別しにくいため、胸部レントゲンの診断が大切です。
肺に空気がたまり気味になるので、肺が黒くうつります。
ケア
- 水分の補給
脱水気味になると、痰(たん)が粘り、吐き出すのが困難になるので、水分を十分にとりましょう。水分をとれない場合は少量づつ頻繁に与えましょう。
予防方法
- 手洗いとうがいをする
- 患者さんとの接触を避けること
- 子どもの体調の変化に注意すること
- マスクをする
- 「咳エチケット」を守る
熱が下がってもせきが続く、呼吸の数が増えるなど、悪化の兆候がある場合には、早めに医師の診察を受けましょう。
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