2005年10月
沖縄被害者支援ゆいセンター理事 真栄田篤彦

 幸せの程度は人それぞれで違うと思いますが、人並みの生活を継続し、日常生活が安定・安心して暮らせるという基本的人権を守られての生活がいかに大切なことか。いわゆる小さな幸せを求めて暮らしている私たちですが、その小さな幸せをも犯罪はいとも簡単に破壊します。

 昨今のテレビや新聞報道では、日常茶飯事のように犯罪事件が報道されています。母親が一所懸命に育ててきた我が子が、あろうことかその母を殺害してしまう。また、かつて交際のあった女性に対して執拗に脅迫を繰り返すストーカーが引き起こした殺人。例示すればきりが無いほど犯罪が私たちの近隣で発生しています。

 逆に、いつ自分が加害者になるか知れない交通事故や予測できない過失など、どちらの状況も置かれた立場の人は非常に苦しみます。

 一変して幸せが不幸に転じてしまい、人生の苦悩が始まります。心の苦しみは肉体的苦痛よりも深くそして長く続きます。平穏であった過去に戻るための努力は並大抵のことではありません。

 昨年、ようやく被害者支援法が成立しました。全国的に被害者を支援するボランティア団体が誕生しています。毎年10月3日を「犯罪被害者支援の日」と位置づけて全国一斉にキャンペーンを実施しています。

 沖縄被害者支援ゆいセンターも社団法人化し、尚弘子理事長のもとスタッフ一丸となって被害者およびその御家族を支援すべく組織を拡充しています。被害者からの電話相談や、被害者が裁判所や警察署に行く際に一緒に帯同する「直接支援」も行っています。

 「支援の日」はいつまでも継続していきます。小さな幸せを求めて、県民全体の温かい心の絆で被害者支援をしていただける社会を目指していきたいと考えています。

 沖縄被害者支援ゆいセンター
  電話相談:098-866-7830、月~金、午前10時~午後4時
  事務局 :098-951-2408

2005年10月30日 沖縄タイムス 論壇掲載