2003年 9月
被害者こころの支援センター沖縄委員 真栄田 篤彦

 長引く社会経済状況の悪化に伴い、全国的にも犯罪が増加する傾向があり、国民が安心して生活できる社会を再構築するよう全国民が望んでいます。

 「衣食足りて礼節を知る」と故事にありますが、日本全体が失業の嵐に見舞われています。社会が乱れたときに犯罪は多発するとのたとえの通り、常に危機感を持って生活を過ごす状況です。

被害者の苦しみ

 このような不安定な社会情勢の中で、何らかの犯罪に巻き込まれた被害者本人や、ご家族の生活や、精神的心労は大変なものと推察されます。

 平成7年の地下鉄サリン事件等の被害者や、ご遺族の心的外傷後ストレス障害(PTSD)などの精神的被害や経済的被害の深刻な苦しみが社会に警鐘を鳴らしました。

被害者支援のスタート

 これまで日本の刑法は犯罪者等に対して整備されてきました。

 しかし、被害者の支援も非常に重要であるとの認識のもと、平成8年、日本の警察が組織的に被害者支援などの取り組みをスタートしました。また、全国的に民間団体(ボランティア)による犯罪被害者支援センター等の活動も起こりました。

沖縄県の取り組み「被害者こころの支援センター沖縄」

 沖縄県では平成14年4月に「被害者こころの支援センター沖縄」を立ち上げました。関係各位の協力を得て、県内で犯罪に巻き込まれた被害者本人や、そのご家族の精神的サポートを行ってきました。

 県内の精神科医や、臨床心理士、ボランティアなどで構成し、電話相談窓口を設置しています。相談内容は切実なもので、被害者本人やご家族のPTSDの症状が長期化したり、生活そのものも大変な状況に陥っています。

 当センターでは相談内容等は公開しません。また相談者のプライバシーには極力配慮しながら支援活動を行っています。

 被害者の方からは直接支援(病院、警察署、検察庁、裁判所等への付き添い)等の要望も多々あります。当センターの活動内容の充実化を考慮し、将来的にはセンターの法人化を検討中です。犯罪被害者支援センター沖縄では鋭意努力し、本県の社会向上に貢献して行く所存です。

 今秋、全国的に犯罪被害者支援キャンペーン実施中です。沖縄県は10月4日(土)をキャンペーンの日として種々の啓発・広報活動を行います。今後とも、犯罪被害者のご本人やご家族様に対する、県内の皆様方の厚いご理解、ご協力、ご支援を何卒宜しくお願い申し上げます。