37号 2004年 3月13日
沖縄県感染症サーベイランス担当 真栄田 篤彦

 今年の1月以来、国内の鶏等に鳥インフルエンザが発生しています。鳥インフルエンザウイルスの人への感染の可能性、自宅で飼っている鳥が死んでしまった場合の対処方法などについて、正しい知識を身につけましょう。

鶏肉、卵の安全性について

 鶏肉や鶏卵を食べることによって、人に感染したという事例の報告はありません。

 鶏卵を「生」で食べることが健康を損なうおそれがあるとの報告はこれまでありません。不安な方は、加熱することをおすすめします。WHOの食中毒防止のための加熱条件:中心部70℃、瞬間。

 鶏肉は十分加熱して食べて下さい。未加熱又は加熱不十分なままで食べることは、食中毒予防の観点からおすすめできません。

人への感染について

 鳥インフルエンザは、この病気にかかった鶏と接触して、羽や粉末状になったフンを吸い込んだり、その鶏のフンや内臓に触れた手を介して鼻からウイルスが入るなど、人の体内に大量のウイルスが入ってしまった場合に、ごくまれにかかることがあることが知られています。

 日本では、この病気にかかった鶏等が徹底的に処分されているため、鳥インフルエンザに感染する可能性はきわめて低いと考えられます。

 鳥インフルエンザに感染したり感染が疑われる鳥と接触した後で、発熱などインフルエンザを疑う症状が出た場合には、医師にその旨を告げて受診して下さい。

飼っている鳥、野鳥が死んでいるのを見つけた場合

鳥を飼っている場合
 清潔な状態で飼育し、ウイルスを運んでくる可能性がある野鳥が近くに来ないようにしましょう。鳥の排せつ物に触れた後には手洗いとうがいをすれば、心配する必要はありません。

飼っている鳥が死んでしまった場合
 原因が分からないまま、鳥が次々に連続して死んでしまうということがない限り、鳥インフルエンザを心配する必要はありません。原因が分からないまま、鳥が連続して死んでしまった場合は、その鳥に素手で触ったり、土に埋めたりせずに、なるべく早く、お近くの獣医師、家畜保健衛生所又は保健所に相談しましょう。

野鳥が死んでいるのを見つけた場合
 野鳥が死んだ場合には、鳥インフルエンザだけでなく、細菌や寄生虫が人の体に感染することを防止することが重要です。死亡した鳥を素手で触らずにビニール袋に入れてきちんと封をして廃棄物として処分することも可能です。このような場合に直ちに相談していただく必要はないと考えられますが、不安な場合には、市町村、獣医師、家畜保健衛生所又は保健所に連絡しましょう。