「ロタ」と「ノロ」に要注意

45号 2005年 1月22日
沖縄県感染症サーベイランス担当 真栄田 篤彦

 寒い今日このごろ、コタツを囲んであったかい鍋料理が欲しい時期になりました。冬場の旬の食材であるカキや二枚貝類がおいしい季節です。しかしこれら貝類は、生で食べるととてもおいしいのですが、ちょっと待ってください。

 食材によってはノロウイルスという急性胃腸炎を起こすウイルスに汚染されていることがあります。このウイルスはこれまでは小球形性ウイルスと呼ばれていましたが、 2003年8月以降はノロウイルスと表現されるようになりました。

 集団食中毒の原因となる汚染食品には、カキ、野菜サラダ、鳥肉、フルーツ、赤肉、スープ、デザートなどが報告されています。ウイルスの潜伏期間は約1~2日で、症状としては頻回の嘔吐、腹痛、下痢、発熱が特徴です。なお、嘔吐物や下痢便が乾燥するとウイルスが飛散し、家族内での感染が起こりやすくなり、乳幼児にも急性胃腸炎として発症します。

 県内でも老人施設で集団発生の報告がありました。感染経路は主に摂食による経口感染ですが、ノロウイルスに汚染された器具から人へ、あるいは人から人へ感染するとも言われます。感染した場合の根本的治療法はありません。特に高齢者や乳幼児はすぐに脱水を起こしやすいので、早期に脱水の治療(電解質液の点滴療法)が必要になるため要注意です。

 また、従来はロタウイルスによる冬季嘔吐下痢症が乳幼児に多く発生していましたが、感染性胃腸炎の場合には灰白色の下痢便が特徴です。ロタウイルス感染症も脱水症には要注意です。これらのウイルスは症状が消失した後も約1~2週間位は排便中に存在しているので、二次感染に気をつける必要があります。

 感染予防としては、塩素系の洗剤での手洗いや汚染された食器や調理異(まな板や包丁など)の消毒を充分に行うことです。また、ノロウイルスに汚染された生の二枚貝類などを食べる場合には、食品の中心温度が85℃以上で1分間以上の加熱を行えば感染性は消失します。

 どちらのウイルス感染症も冬場に多く発生し、11月ごろからの前半はノロウイルス、後半はロタウイルスが流行するといわれています。前述の症状が出た場合には、早期に医療機関を受診してください。早期受診による乳幼児への二次感染発生の予防につとめて頂きたいと願っています。

 「ノロかロタか」とちょっと耳にすると、外国マラソン選手の名前に似ていますが、この冬はジョギングでもしながら、二つの名前を覚え、ノロかノタウイルス感染症にはくれぐれも気をつけて健康を維持してください。

2005年1月19日 沖縄タイムス「命ぐすい耳ぐすい」掲載